日本語を学ぶ

ジェーケーローリングさんのスピーチ⑤

はなしいてみましょう。

ジェーケーローリングさんのスピーチ⑤
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誰もが弁護士を立てて裁判を受ける権利がある、民主主義国家に住んでいます。


20代前半こうして働いていたころ、毎日自分がどれだけ幸せであるかを思い知りました。


 


私は毎日、人間が権力のために、他の人間に悪いことをするのを目にしてきました。


やがて、悪夢を見るようになりました。仕事で自分が見たり聞いたり読んだりしたことについての悪夢です。


 


しかしまた、アムネスティ・インターナショナルでそれまで知らなかった人間の善良さについても学びました。


アムネスティでは信念で、拷問を受けたり投獄されたことがない職員が、拷問を受けたり投獄された人達のために活動しています。


人類の共感する力が、力を合わせて行動し、命を救い、囚人を解放しました。


 


幸せと安全が保証されている普通の人たちが、顔も知らない、これからも会うことのない人々を救うために、大勢集まっているのです。


そこに参加出来たことは、私の人生において最も衝撃を受け、謙虚な気持ちになる経験となりました。


 


人は、この地球上のどの動物とは違って、自分が経験しなくても、学び、理解することができます。


他人の立場で考えることができます。


これは、私の小説にでてくる魔法のように、良いことにも、悪いことにも使えます。


 


この能力を、人を理解したり共感したりするに使うのではなく、他人を操ったりコントロールしたりするために使う人もいるかもしれません。


 


そして想像力を全く使おうとしない人も大勢います。


彼らは自分の経験だけで心地よく過ごし、「もし自分が他の人のような環境に生まれたらどうだっただろう?」などとは考えません。


彼らは悲鳴や他人の苦しみを見聞きなくてもいいのです。


個人的に関係のない人々の苦痛に、心を閉ざすことができます。


知ることを拒否するのです。


 


そのような生き方ができる人をうらやましく思う時があるかもしれません。


しかし、彼らは私よりも悪夢をみることが少ないとは思えません。


狭い空間に閉じこもり生きることは、精神的な広場恐怖症のようで、それはまた恐怖をもたらします。


想像力を使わない人々は、多くのモンスターを見ているのではないでしょうか?


 


さらに、他人と共感しようとしない人々は、本当のモンスターになってしまうかもしれません。悪い行為を自分自身で行わなくても、無関心を通じて知らず知らずのうちに悪と共謀してしまうのです。