日本語を学ぶ
ジェーケーローリングさんのスピーチ③
お話を聞いてみましょう。
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あの頃の私の人生は真っ暗で、後にメディアが取り上げたような”おとぎ話”のような結末が待っているとは、当時は思いもよりませんでした。
当時、この暗いトンネルがどれくらい続くのかわからず、トンネルの終わりの光は長い間、現実というよりむしろ夢でしかありませんでした。
では、なぜ、「失敗のもたらす恩恵」なのでしょうか?
その答えはシンプルで、「失敗が不必要なものを剥ぎ取る」のです。
私は自分ではない何かであるのをやめ、自分にとって唯一のことに全てを注ぐようにしました。
もし、他のことで成功していたら、自分が本当にやりたいことで成功してやるという決心がずっとつかなかったかもしれません。
私は自由になったのです。
なぜなら、私の恐れていたことはもう現実のものとなってしまい、けれど、自分は生きていて、愛する娘もいて、古いタイプライターと大きなアイディアもあったのです。
どん底が人生をやり直す屈強な基盤となりました。
皆さんは私ほどの大失敗はしないかもしれません。
しかし、人生でいくつかは失敗するでしょう。
失敗をしないためには、慎重になり、死んだように生きるしかありません。
しかしそんな生き方は、それ自体が失敗です。
失敗は、試験合格では決して得られなかった、安心感を与えてくれました。
失敗は、自分自身のことについて教えてくれました。
自分には強い意志があり、自分が思っていた以上の心がタフであることに気づきました。
そして、宝石よりもずっと価値のある友達がいることにも気がつきました。
”どん底から這い上がって、賢く、強くなれた”と知ったとき、”人生を生きる力がある”という自信になりました。
自分自身や人との関係が、逆境に陥るまで、分からなかったのです。
このことこそが、失敗がくれた恩恵で、どんな資格よりも価値があるのです。
もしタイムターナーがあれば、
21歳の私に、「人の幸せは”成功や達成のチェックリストではない”」と教えてあげます。
資格や履歴書が皆さんの人生ではないのです。
とは言うものの、幸せは”成功や達成のチェックリストとする大人は大勢います……。
人生は困難で、複雑で、誰もコントロールできません。
それを理解し謙虚になれば、人生の浮き沈みを生き抜くことができます。