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【差替待機】裸の王さま②

はなしいてみましょう。

【差替待機】裸の王さま②
  • 4分0秒

二人の男が布をおっている部屋に着いた王さまは、二人の男に声をかけました。


「うむ、二人ともごくろう。して、例の不思議な布は、どこにあるのじゃな?」


すると二人の男は、大きな布を持ち上げるふりをして言いました。


「王さま、これでございます。どうです、なかなか見事な布でしょう。たった今、完成したのでございます」


何も見えないので、王さまは目をゴシゴシとこすりました。


それを見た二人の男は、少し意地悪く尋ねました。


「もしかして、この布がお見えにならないとか」


その言葉にビクッとして王さまは、あわてて言いました。


「いや、そんな事はないぞ。なるほど、確かにこれは素晴らしい布だ。うむ、実に気にいったぞ。」


そしてお祭りの日の朝、二人の男が完成した着物を届けに来て言いました。


「さあ、わたしたちが着物をお着せしますから、王さま、どうぞ裸になって下さい」


裸になった王さまに、二人の男は出来上がった事になっているその着物を丁寧に着せるふりをしました。


着せ終わると、そばにいた家来たちは、口々に褒め立てました。


「そうか、そんなに良く似合うか!」


王さまは、いかにも満足そうにして、行列をしたがえると、


いばって、ゆっくりと歩きました。


はだかの行進


それを見た大勢の町の人たちは、目を見張りながら、わざと大きな声で口々に、


「何て立派だろう。とても良くお似合いだ」


「さすがは王さま。着物が良くお似合いだ事」


と、言いました。


本当は、みんな何も見えていないのですが、そんな事を人に知られたら、自分はおろか者だと思われてしまいます。


その時です。


行列を見ていた小さな子どもが、笑って言いました。


「わーい、おかしいな。裸の王さまが、いばって歩いているよ」


その声を聞いた町の人たちも、口々に言いました。


「やっぱり裸だよな。見える様なふりをした自分が恥ずかしい」


でも、もっと恥ずかしかったのは、ペテン師にだまされて裸で歩いていた事に気がついた王さまです。


しかし、今は大切なお祭りの途中なので、すぐに行進を止めるわけにはいきません。


王さまは恥ずかしさのあまり、まっ赤になった顔のまま行進を終えると、


逃げる様にお城へ帰って行ったという事です。