日本語を学ぶ
したきりスズメ
お話を聞いてみましょう。
- 4分30秒
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むかしむかし、あるところに、おじいさんとおばあさんがいました。
心の優しいおじいさんは、一羽のスズメを飼っていました。
ある日スズメが、おばあさんが作った海苔を、食ベてしまったのです。
怒ったおばあさんはハサミでスズメの舌を切ってしまいました。
スズメは泣きながら、藪の中へ逃げて行きました。
間もなくして、おじいさんが仕事から帰ってきましたが、スズメの姿が見えません。
スズメはいたずらをしたので、舌を切ったとおばあさんからきいたおじいさんは、スズメの事が心配でなりません。
おじいさんはスズメの逃げた藪に、探しに行きました。
すると藪の影から、チュンチュンと、スズメの鳴く声がします。
藪の中から、スズメたちが大勢現れ、見ると舌を切られたスズメもいます。
スズメの舌を見て、これなら大丈夫だと、おじいさんはホッとしました。
おじいさんの事が好きなスズメは自分のおうちに招待しました。
スズメたちは、みんなでおじいさんをスズメの家へ連れていくと、
みんなでスズメ踊りをしたり、おいしいごちそうをたくさん出してくれました。
おじいさんは、大喜びです。
暗くならないうちに、帰ろうとしたところ、スズメたちは大きなつづら(→衣服などを入れるカゴ)と小さなつづらを持ってきました。
「おじいさん、どちらか好きな方を持っていってくださいな」
スズメたちがいいました。
おじいさんは、大きなつづらは持つことが出来ないので、小さい方を貰うことにしました。
おじいさんは小さなつづらをお土産に貰うと、背中に背負って帰っていきました。
そして家に帰ってスズメのおみやげを開けてみると、なんと中には大判小判や宝石が、たくさん入っていたのです。
羨ましくなったおばあさんは、自分も貰いに行こうと、スズメの家へ出かけて行きました。
そして、スズメの家に無理矢理入ると、お土産のつづらを持ってくるように言いました。
おばあさんは大きいつづらを受け取ると、急いで家へ帰っていきました。
家までもう少しでしたが、中が気になったおばあさんは、おばあさんは道ばたでつづらを下ろすと、中を開けてみました。
なんとつづらの中には、ムカデにハチにヘビ、そして恐ろしい顔のお化けたちが、たくさん入っていたのです。
おばあさんはびっくりして、一目散に家へ逃げ帰りました。
そして、おじいさんにこの事を話すと、
「おばあさん、かわいいスズメの舌を切ったり、欲張って大きなつづらを貰ったりしたから、罰が当たったのだよ。これからは、生き物を可愛がっておやり。それから決して、欲張らないようにね」
おじいさんは、おばあさんにそう言いました。