日本語を学ぶ

したきりスズメ

はなしいてみましょう。

したきりスズメ
  • 4分30秒
  • 0361109832

むかしむかし、あるところに、おじいさんとおばあさんがいました。


心の優しいおじいさんは、一羽のスズメを飼っていました。


ある日スズメが、おばあさんが作った海苔を、食ベてしまったのです。


怒ったおばあさんはハサミでスズメの舌を切ってしまいました。


スズメは泣きながら、藪の中へ逃げて行きました。


間もなくして、おじいさんが仕事から帰ってきましたが、スズメの姿が見えません。


スズメはいたずらをしたので、舌を切ったとおばあさんからきいたおじいさんは、スズメの事が心配でなりません。


おじいさんはスズメの逃げた藪に、探しに行きました。


すると藪の影から、チュンチュンと、スズメの鳴く声がします。


藪の中から、スズメたちが大勢現れ、見ると舌を切られたスズメもいます。


スズメの舌を見て、これなら大丈夫だと、おじいさんはホッとしました。


おじいさんの事が好きなスズメは自分のおうちに招待しました。


スズメたちは、みんなでおじいさんをスズメの家へ連れていくと、


みんなでスズメ踊りをしたり、おいしいごちそうをたくさん出してくれました。


おじいさんは、大喜びです。


暗くならないうちに、帰ろうとしたところ、スズメたちは大きなつづら(→衣服などを入れるカゴ)と小さなつづらを持ってきました。


「おじいさん、どちらか好きな方を持っていってくださいな」


スズメたちがいいました。


おじいさんは、大きなつづらは持つことが出来ないので、小さい方を貰うことにしました。


おじいさんは小さなつづらをお土産に貰うと、背中に背負って帰っていきました。


そして家に帰ってスズメのおみやげを開けてみると、なんと中には大判小判や宝石が、たくさん入っていたのです。 


羨ましくなったおばあさんは、自分も貰いに行こうと、スズメの家へ出かけて行きました。


そして、スズメの家に無理矢理入ると、お土産のつづらを持ってくるように言いました。


おばあさんは大きいつづらを受け取ると、急いで家へ帰っていきました。


家までもう少しでしたが、中が気になったおばあさんは、おばあさんは道ばたでつづらを下ろすと、中を開けてみました。


なんとつづらの中には、ムカデにハチにヘビ、そして恐ろしい顔のお化けたちが、たくさん入っていたのです。


おばあさんはびっくりして、一目散に家へ逃げ帰りました。


そして、おじいさんにこの事を話すと、


「おばあさん、かわいいスズメの舌を切ったり、欲張って大きなつづらを貰ったりしたから、罰が当たったのだよ。これからは、生き物を可愛がっておやり。それから決して、欲張らないようにね」


おじいさんは、おばあさんにそう言いました。