日本語を学ぶ
海の水はなぜしょっぱい?
お話を聞いてみましょう。
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むかしむかし、ある村に、貧乏な男がいました。
ある日の晩、その男のところへ、白いひげのおじいさんがやってきました。
おじいさんはその男に、一晩泊めてくれないかと頼みました。
男は親切に、おじいさんを泊めてやりました。
次の日、おじいさんは男に泊めてくれたお礼にと、小さな石臼をくれました。
「この石臼は、右に回せば欲しいものが出て、左へ回せば止まるものだ」と、
おじいさんはそう言って、出て行きました。
男は試しに、「米出ろ」と、石臼を回してみました。
すると石臼から、真っ白い米がザクザクと出てきました。
あわてて左へ回すと、米はピタリと止まります。
男は感動しました。
男は米や魚をたくさん出して、周りの家にも分けてあげました。
さて男の隣に、欲張りな兄さんが住んでいました。
兄さんは弟が急にお金持ちになったのを不思議に思い、こっそり覗きに来ました。
お兄さんはこの石臼の事を知り、夜になると弟の家に忍び込んで、石臼を盗みました。
そして舟に乗って、海へ逃げました。
「よしよし、ここまで来れば大丈夫だろう」
兄さんは一生懸命に舟を漕いだので、お腹がペコペコになりました。
そこで、持ってきたおにぎりを取り出すと、おにぎりに塩をつけたらおいしくなるだろうと思いつき、石臼を回すと、石臼からは塩がザラザラとあふれ出して、たちまち舟いっぱいになりました。
兄さんは、あわてて塩を出てくるのを止めようとしましたが、止め方がわかりません。
欲張り兄さんは、石臼から物を出す方法は見ていたのですが、止め方は見ていなかったのです。
ついに舟は塩の重さに耐えられなくなり、そのまま海に沈んでしまいました。
ところであの石臼は、今でもグルグルと回って、塩を出しています。
海の水がしょっぱいのは、こういうわけなのです。