日本語を学ぶ
【差替待機】子どもから大人に変わるとき
音声を聞いて、問題に答えてみましょう。
- 4分40秒
私は子どものころ、自分の価値観と他人の価値観は一緒だと思っていました。
人を殺す人の気持ちは分からないし、家族が嫌いな人の気持ちも、分かりませんでした。
クラスの子もみんなが、家族が好きで、明るい世界が好きなんだと思っていました。
そして、大人は完璧な人間だと思っていました。
大人は大体のことは知っていて、スマートで、ルールを守る、正しい存在だと思っていました。
そんな私がいざ大人になってみたら、いろんなことが分かってきました。
まず、私は、自分が大人になったら子どもの時に周りにいたような完璧な人間になれると思っていました。しかし、大人になるというのは、ポケモンのようにいきなり「子どもから大人」に進化するわけではありませんでした。子どものまま、いつの間にか、ぬるっと大人になっていました。
子どもから大人への具体的な境界線がないまま大人になっているので、「完璧」ではないし、「正しい」わけでもなく、「答えを知っている」わけでもありません。
自分が20歳、24歳と歳を重ねていき、実際に自分が大人になることで、「本当の大人像」を知ることができました。大人は完璧ではありません。不安定な大人をたくさん見てきました。20歳という体だけで大人判定されて精神が変わらずのままがほとんどです。
大人はルールを破りますし、正解の方向が分かりません。「「正しい」という軸はこの世に存在していない」という考え方を大人になってから見聞きします。何が何だか分かりません。なんでもOKなのが大人のような気がすらしてきます。
私が子供のころは、「あれはだめ」「これはいい」という授業内容や義務教育でした。それがダメとは思いません。むしろ私は、その方が楽だったと今になって思います。本当の大人を知ったとき、私たちは、いきなりなんでもOKな世界があることを知ります。
大人の世界は意外と子どもと同じで、奪われないように守る、奪う、他人より優位に立ちたい、こんな気持ちでいっぱいです。思えば、それが人間です。
Q.1
お話の内容としてあてはまるものはどれですか?次のa.b.c.d.から1つ選んでください。
a. 大人は完璧な人間である
b. 大人になるというのは、ポケモンのようにいきなり「子どもから大人」に進化する
c. 大人の世界は意外と子どもと同じである
d. 子供のころは、「なんでもOK」という授業内容や義務教育だった
正解は、『c. 大人の世界は意外と子どもと同じである』でした。